ビタミンB6依存性てんかんについて

ビタミンB6依存性てんかんとは?

てんかん発作のコントロールにビタミンB6製剤が必要であるてんかんのことです。

ビタミンB6製剤がよく効いた場合、以前はビタミンB6製剤を一旦中止して発作の再発を確認し、ビタミンB6製剤を再開して発作が再び抑制されることにより、ビタミンB6への依存性を確認していました。

今は原因が少しずつ分かってきていますので、上記の手順を踏まずとも診断できる場合が増えてきました。

ビタミンB6依存性てんかんの原因は?

先天的な要因で、体内の活性型ビタミンB6であるピリドキサールリン酸(PLP)が欠乏することにより、症状が起こります。

ALDH7A1欠損症、ALDH4A1欠損症(高プロリン血症2型):異常貯留した代謝物により、PLPが不活性化される。

PLPHP(PLPBP)欠損症:細胞内でのPLPの安定性が阻害され、PLPが欠乏する。

PNPO欠損症:PLPを作る酵素であるPNPOの欠損により、PLPが十分作られない。

低ホスファターゼ症、先天性GPI欠損症の一部:末梢血液から中枢神経系へのPLPの輸送が障害される。

ビタミンB6依存性てんかんの診断手順

原因不明のてんかんを診た場合(特に新生児・乳児、例外的に幼児)、ビタミンB6依存性てんかんの可能性を思い浮かべ、ビタミンB6製剤による試験的治療を行います。治療を始める前に、検体(血清、尿、可能であれば髄液も)を採取し、速やかに遮光して凍結保存(-70℃以下がベスト)しておきます。

ビタミンB6製剤には、ピリドキシンとPLPの2種類があり、内服薬と注射液があります。どのタイプがよいかは、想定する原因疾患にもよりますが、日本では内服薬ではPLP製剤、注射薬ではピリドキシン製剤が使われることが多いかと思います。

効果は1回きりの使用では判定できません。少なくとも数日から1週間程度はトライアルを続けるのがよいでしょう。

もしビタミンB6製剤がはっきり効いた場合(発作ゼロでなくてもよい)、上記の疾患の可能性を考えて調べていく必要があります。

生化学的検査では、以下が有用です。

ALDH7A1欠損症α-AASA(当方で測定可能)、ピペコリン酸(当方で測定可能)、6-オキソピペコリン酸日本疾患メタボローム解析研究所で測定可能)

ALDH4A1欠損症(高プロリン血症2型):プロリン(血漿中アミノ酸分析)、ピロリン-5-カルボン酸日本疾患メタボローム解析研究所で測定可能)

PNPO欠損症ピリドキサミン(検査会社のビタミンB6分析で近似)、4-ピリドキシン酸(当方で測定可能)

ピリドキサミン/4-ピリドキシン酸比が最も有用です。なお、検査会社で測定されるピリドキサミンは、ピリドキサミンとピリドキサミンリン酸の合計であり、あくまで近似的に用います。

低ホスファターゼ症血清アルカリホスファターゼ(一般生化学検査)、尿中ホスホエタノールアミン(尿中アミノ酸分析)、血清PLP(当方で測定可能)

骨や歯の症状を通常伴います。

先天性GPI欠損症血清アルカリホスファターゼ(一般生化学検査)

スクリーニングには、フローサイトメトリー検査先天性GPI欠損症のページ)が有用です。血清アルカリホスファターゼは必ずしも異常を示しません。

PLPHP(PLPBP)欠損症:有用な指標はまだ見つかっていません。

ALDH7A1欠損症、PNPO欠損症、PLPHP欠損症では、治療開始前の髄液中PLPとピリドキサールが低値であった報告(私たちの研究報告も含め)があります。また、脳内ビタミンB6欠乏を反映し、髄液中3-O-メチルドーパ、5-ヒドロキシトリプトファン高値をみとめた報告(私たちの研究報告も含め)もあります。

最終的には、遺伝子解析を用いて原因遺伝子の病的異常を確認する、可能であれば酵素活性を測定することにより、診断を行います。

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