教授挨拶

2024年10月から着任いたしました武内俊樹です。どうぞよろしくお願い申し上げます。

当教室は、子ども(新生児から青年期まで)の神経疾患の診断と治療に取り組んでおります。発達遅滞、てんかん、頭痛などの頻度の高い疾患から、頻度の低い希少遺伝性疾患、脳性麻痺をはじめとする慢性疾患、そして脳炎や髄膜炎などの急性疾患まで、多岐にわたる子どもの神経疾患を対象としています。少子化の中にあってもこれらの疾患に対する診療のニーズはむしろ増え続けています。患者さんと医療者、そして医療者間のコミュニケーションを大切にし、正確な原因診断と合理的な加療を信条として、現在最良の医療を確実に提供してまいります。

当教室の最も重要なミッションの一つは人材育成であると考えます。子どもの神経系の解剖学的・機能的な発達段階は大人のそれとは大きく異なります。そのため、診療には子ども特有の疾患や症状についての深い理解が求められます。小児神経に求められる高い専門性を習得的できる環境と機会を用意しておりますので、当教室での研修に興味をお持ちの方は、いつでも気軽にご連絡ください。

てんかん診療に加えて、その多くが発達遅滞やてんかんなどの神経症状を呈する小児難病や希少遺伝性疾患にも積極的に取り組んでまいります。分子遺伝学の進歩により、かつては診断が困難であった疾患の診断が可能になり、治療法のなかった疾患に対して核酸医薬品、遺伝子治療、分子標的薬などの新しい治療法が使われるようになっています。その一方で、小児神経領域には多くの解決すべき課題が残されています。一人一人の患者さんとの出会いから得られる気付きを研究に昇華させ、研究の成果を患者さんと社会に還元していくことが教室に課せられた使命です。病気の根本原因(病因)を明らかにし、診断・治療・予防法のための新しいエビデンスを世界に向けて発信することで、神経疾患や難病を持つ子どもたちにより良い未来を届けられるよう教室員一丸となって努力を続けてまいります。

岡山大学学術研究院医歯薬学域小児発達病因病態学分野
岡山大学病院小児神経科
教授 武内俊樹